【おすすめ映画紹介&レビュー】不朽の名作『キャスト・アウェイ(2000)』【トム・ハンクス】

最近、Netflixでのサバイバル番組が大流行りしていたり、有名俳優や体力自慢の芸人が無人島から脱出するバラエティ番組がたくさん放送されるなど、空前のサバイバルブームが巻き起こっています。

何を隠そう、筆者もそのブームに飲み込まれている一人で、無人島での過酷なサバイバルに胸をドキドキハラハラさせながら楽しんで観ています。

そんな中、ふと思い出したのが十数年前に見たこの映画『キャスト・アウェイ(Cast Away)』でした。

これを機に、もう一度しっかり観てみよう!というわけで、おすすめ映画レビュー第一弾はこちら、トム・ハンクス主演『キャスト・アウェイ』です!

なお、当記事は前半がネタバレなしの映画紹介、後半はネタバレありのレビュー、という構成になっておりますのでご了承ください。

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映画紹介(ネタバレなし)

あらすじ

主人公であるチャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、フェデックス社のシステムエンジニア。
アメリカのテネシー州メンフィスにて、恋人のケリー・フレアーズ(ヘレン・ハント)と暮らしているが、自社のシステム効率を上げるため、仕事で世界中を飛び回っていた。

そんなクリスマス、一時帰国して親族でのパーティーに参加したチャックは、「大みそかは一緒に過ごす」とケリーに約束し、再び仕事に向かうため自社の飛行機に乗り込む。

しかしその飛行機は悪天候のために太平洋上で墜落。
チャックは救命用のゴムボートと共に単身投げ出され、海上を漂流する。

気が付いたチャックが流れ着いていたのは、人間や人工物など一つも存在しない無人島だった。

見どころ

2000年に公開されたこちらの映画は、監督であるロバート・ゼメキスと、俳優トム・ハンクスが、あの名作『フォレスト・ガンプ/一期一会』以来となるタッグを組んだことで話題となりました。

ロバート・ゼメキスといえば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズや『永遠に美しく…』といったSF・ファンタジーも手掛ける一方で、トム・ハンクスと組んだ『フォレスト・ガンプ/一期一会』や、この『キャスト・アウェイ』では観客の心に刺さる最高峰のヒューマンドラマを作り上げています。

ちなみに筆者は、ロバート・ゼメキス作品でも珍しいノンフィクション作品である、命綱なしの空中散歩に挑戦したフィリップ・プティの実話を描いた『ザ・ウォーク』がすごく好きです。

なお、『キャスト・アウェイ』にも日本でもおなじみ、実在の世界的運送会社「FedEx」が登場しますが、今作品は完全なフィクションですのでお間違えなきよう。

 

少し脱線しました(笑)。さてこの映画の見どころは、なんといってもトム・ハンクスの演技力と、彼が演じるチャック・ノーランドの心理描写の巧みさ、これに尽きます。

トム・ハンクスは今作品の撮影にあたり、中年男性を完璧に演じる為、体重をなんと20kg以上も増やしたのだそう。

かなりふくよかになって現れたトム・ハンクス

さらには、その後の無人島でのシーンを撮影するまでに一年の撮影中断期間を設け、体重を元に戻して髪と髭を伸ばしに伸ばしたそうです。なんという役者魂。

特殊メイクかと思いきや、なんと実際の髪の毛、髭だそう

ネタバレを避けるためあまり深くは書けませんが、チャックが無人島で感じる孤独や絶望感、そしてその後の展開の中での心の動きや葛藤が、台詞そして表情から痛いほどに伝わり、観る人の心を動かします。

さらに、無人島で登場するメインヒロイン(笑)のウィルソン。

メインヒロインのウィルソン

未だかつて、一つのバレーボールにここまで愛着を沸かせる映像作品があっただろうか。

このウィルソン製のバレーボールに対する、チャックの心理描写も必見です。

 

以上、おすすめ映画『キャスト・アウェイ』の紹介でした!

この先は、実際に作品を観た人向けの、ネタバレ込みのレビューとなりますので、未視聴の方はご注意ください。

 

レビュー(ネタバレあり)

今作品を視聴して、筆者が一番感動したのは、観客に自分たちで想像する余地を多く残した物語の構成です。

物語のキーポイントとなる、「未開封の荷物」「十字路」といった要素は、映画中で「荷物の中身は何か」「十字路の先には何があるのか」「チャックはどこへ向かうのか」といった”答え”が明かされることはなく、全ては観客の想像に任されることとなっています。

この点が賛否分かれるところでもあるでしょうが、筆者にはこの一切の蛇足のなさが非常に気持ちよく、その構成の妙に素晴らしさを感じました。

 

さて、今作品においてこれらのキーポイントを一つにつなげる役割を果たしているのが「天使の羽」です。

この「天使の羽」は作品中、冒頭一番最初のシーンから、ラストシーンまで一貫して登場しているのですが、何気なさすぎて初見では見逃してしまう人も多いと思われるため、その登場シーンを振り返っていきましょう。

天使の羽

この天使の羽は、作中に登場する芸術家ベティーナ・ピーターソン(ラリ・ホワイト)のトレードマークです。

しかし、このマークと運命的な出会いを果たしたチャックにとって、天使の羽はそれ以上の意味を持っていくこととなります。

さて、こちらが映画冒頭のシーン

運送会社FedExのトラックが、とある十字路を行きます。

やってきたのは「ディック&ベティーナ」と書かれた、芸術家のお家。
この十字路、門を覚えておいてください。

FedExの箱にベティーナが描いた天使の羽のマークを見て、「今日はピンク?」と尋ねる運送屋さん。
どうやら荷物の配達を頼む際、ベティーナは毎回箱に天使の羽を描くようだ。

荷物の宛て先は、夫であるディック・ピーターソン。
カウボーイハットが印象的。

しかし、どうやら彼は不倫をしているようだ・・・。

以上が、冒頭での天使の羽の登場シーンです。
ぱっと見は、この後のストーリーとは一切関係のないシーンなので、ただのFedExの紹介のシーンか・・・と思ってしまってもおかしくない一場面です。

その後、主人公チャックの乗る飛行機は墜落。
漂着した無人島で過ごすチャックの元に、乗っていたFedExの飛行機からいくつかの荷物が流れ着きます。

始めは自分の仕事柄、他人あての荷物を開けることに躊躇していたチャックでしたが、“もう救助は来ないかもしれない”という考えが頭をよぎった時、生き延びるために荷物を開けることを決意。

次々と荷物を開封し、最後に残ったのがこの箱
映画の観客には見覚えのある天使の羽が描かれています。

チャックはこのマークの意味など知る由もありませんが、この”天使の羽”の絵が、チャックの心にわずかな希望を与えます。

チャックはこの最後の箱を、無人島脱出、そして愛するケリーの待つ故郷へ帰ることへの最後の希望として、開封せずに置いておくことを決意。
必ず生きて帰って、この荷物を持つべき人の元へ帰すのだと。

そして4年の月日が流れ、島にいかだの帆の代わりとなり得る板が漂着したことをきっかけに、島からの脱出を決意するチャック。

脱出前日には、あの荷物をしっかりと梱包し、いかだに縛り付けます。

いかだの帆には自ら描いた、4年間脱出への希望を繋ぎとめた天使の羽のマーク。

天使の羽を希望の綱に、信じ続けた結果、チャックはついに島からの脱出を果たします。

故郷への生還を果たしたチャックでしたが、待っていたのは残酷な現実でした。
自分は4年前に死んだことになっていて、恋人のケリーには新しい夫と、そして子どもがいました。

お互いに愛し合っているものの、埋めようのない4年という歳月の突きつける現実に苦しむ二人。

考えに考えた末、ケリーは全てを捨ててもチャックの元へ行くことを厭わない本心を見せますが、そんなケリーにチャックは「うちに帰るんだ」と告げ、ケリーとの別れを決意します。

 

時は流れ・・・

新しいウィルソン(笑)と共に、”あの荷物”を運ぶチャック。

行きついたのは見覚えのある十字路。

見覚えのある門。
ベティーナはどうやら、不倫男と別れたようです。

ベティーナが不在のため、「この荷物で僕は救われました。ありがとう。チャック・ノーランド」の書き置きを残し、立ち去るチャック。

生きる目標であったケリーと荷物を両方失い、十字路にてこの先どうするか考えるチャックの元に、一台の車が近づきます。

乗っていたのはベティーナ。

車の後ろのマークを見て、チャックは彼女がベティーナであることを知り、知らぬうちに自分の命を助けてくれた彼女との邂逅に驚きと喜びを感じます。

再び十字路の中心に立ち、物思いにふけるチャック。

何かを決意するように彼がほほ笑んだところで、映画は終わります。

前述したとおり、この後チャックが十字路をどちらに進むのか、ベティーナとの関係はどうなるのか等、この後の物語のすべては観客の想像に委ねられます

これを中途半端と感じる人も中にはいるかもしれませんが、筆者はこれを一切の蛇足のない最高な結末だと感じました。

チャックにとっては、無人島からの脱出の後に待っていたのはケリーとの切ない別れであり、一見救いようのないストーリーにも思えます。

ですが、全てを捨ててチャックの元へ行くことを厭わなかったケリーの思い、そしてラストシーンでチャックの前に広がるいくつもの可能性が、このバッドエンドがハッピーエンドへと向かう可能性を観る者に示してくれます。

そのおかげで、いわば観客たちは自分自身の想像力で、この後のチャックをハッピーエンドへと導いていくことができる、ということになります。無論、バッドエンドへも。

筆者は、この“描かれなかった部分”について、観る者にどれだけ想像を膨らませてもらえるか、というのも映画や小説が「名作」となり得る大きな要因の一つだと考えています。

その点において『キャスト・アウェイ』は本当に優れた映画です。

まあ、「4年後・・・」「4週間後・・・」の部分は正直、「もっと描いて見せてくれ!!」とも思いましたが(笑)

尺の都合上仕方のないこともありますが、“映画として伝えたい部分”と、“観客の想像に任せる部分”を上手く取捨選択した結果なのかなと感じました。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

チャックとウィルソン、そしてチャックとケリーの会話の中で、その心理描写について感動と感想は尽きませんが、これ以上は止まらなくなってしまいそうなのでレビューとしては以上でまとめさせていただきます。

自分もこう感じた!いやいや自分はこう感じた!等の感想、よろしければコメントに残していただければ幸いです!
それでは。

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この記事を書いた人
りょん

関西生まれ関西育ちのゲーム大好き自由人。
ボタンがあったら押してみるタイプ。
好きなジャンルはホラー/RPG/戦略シミュレーション/謎解き系アドベンチャー。
映画、小説も好き。特に海外ファンタジー。

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